「…おや?どうしたんですか?2人とも浮かない顔をして…」

 放課後、既に閑散とした薄暗い教室の中で、カイルは沈んだ表情で向かい合わせに座っているレオンとセリオスに会った。

「ああ、カイル…お前も仲間に入るか?」
「よせよレオン。犠牲者は俺たちだけで十分だろ」
「何か、あったんですか?」
 見ると、2人が囲んでいる机の上には、桜色の半透明なセロファンで
 可愛らしくラッピングされ、リボンで縛った巾着包みがあった。

 ピンと来たカイルは
「なぁんだ、良かったじゃないですか!いいですねえ、誰から貰ったんですか?」
 と珍しくはやし立てるが、2人の表情は暗いままだ。
「それがなぁ…」
「少々、問題があってな…」
「問題、ですか?」
「色さ。カイルも見てみるといい。異形の生物のような恐ろしいものが入ってるぞ」
 セリオスは包みをカイルに差し出した。

 臆することなくその包みを開け始めるカイル。
「…あははっ、そんな恐ろしいチョコレートが存在…うぅっ!」
 言いかけて、カイルの眼鏡が曇った。
 いや、曇ったのはカイルの表情であった。しかし、カイルが眼鏡を一度拭いて、掛け直 したのも確かであった。
「この色は…」
「な?」
「…マラリヤさんですか?」
「ああ、その通りだ…」


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