#4 賢者の逡巡、令嬢の叱咤 3

「あっ、それからですね」
「もぅ、まだ何かありますの!?」
「はい。大した事では無いんですけど」
そう言うと、カイルはそっとシャロンの首元に手を伸ばす。
「えっ…」
「さっきので、リボンがちょっと、曲がってしまいましたから」
カイルはしなやかな手つきで、シャロンの制服にあるリボンを整える。
「これで、よし、と」
「…ぁ、ありがとう、ございますわ」
「いえ、どういたしまして。それはそうと。今日はまたいつもの制服とは違いますね」
「っ!?」
「しかも今日のは普段より、特に型が綺麗ですね。うん、よく似合ってますよ。そういうデザインも」
「あ、貴方、気付いてらしたのっ!?」
「えっ?はい。いつも、変化があるなぁって思ってましたけど…どうかしましたか?」
「い、いえ…なんでもありませんわ…」
かぁぁ、っと顔を赤くしながら答えるシャロン。
「わっ、私、急な用を思いつく事にしました。申し訳ないですけど、失礼させていただきますわっ」
そう言うやいなや、彼女は早急にその場を立ち去る。
「あっ、シャロンさん?!…なにか、またマズイ事言っちゃったかなぁ…?」
一人廊下に立ち尽くし、思い悩むカイルであった。


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